命の音を描く絵。

やっと見にいけた田中一村展
飛びぬけた才能を持ちながらも、評価されず苦しみ、絵は売れず、それでも絵の為に生き、生涯を全うした画家。彼が最後の絵を完成させる地に選んだのが奄美。大自然の中の小さな小屋に住み、少しの野菜を啄ばみながら、命の炎を燃やしながらの創作。染色で生計を立て、貧しいながらも貯金すべてを絵を描くために費やした。僧侶のような暮らしぶりだったという一村の穏やかな生活の中に在る、燃えるように絵に注がれる情熱の対比が作品の中にちりばめられている。
絵に賭ける人生。絵と添い遂げる人生。
彼の作品に登場する生き物はすべて、今も生き続けているような鼓動を大きく放っている。彼が生きた鮮烈な命と、他の命の瑞々しさを克明に感じるのは、彼自身が周囲の自然や小さな命たちと呼応し、自らの生も大切に生きた証であろう。雄弁に伸びやかにすべてが開かれるように描かれた絵画とは、出会う前に、その命の気配さえもはっきり感じられた。ジャングルを歩くときに、生き物と出くわす前のドキドキ感を味わうことのできるような、無数の命の輝きの音が、力強く、はっきりと、そこには在った。
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展示会の最後に、彼の言葉が綴ってありました。
「誰のためでなく、自分の良心のために描く。」
「見る人のために絵を描くということは、生活の奴隷になることと同じ。」
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気高く、強く、燃えるような熱い魂を持った真の芸術家、田中一村。作品だけでなく、その人物像にも心底惚れてしまいました。いつか、田中一村記念美術館にも行ってみたい!
5月6日まで県立美術館で開催中。もう一度行けるかな?行きたいな。
まだの方は是非!!!

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