連日クイーンを聴き続けているが、その日その日に、心にグッとくる曲が違う。それ自体凄いことだと思うし、各メンバーが作る曲がそれぞれ良いと思えるバンドは本当に稀だと思う。(全員がソングライターの時点で既に凄いんですけどね。)
フレディ自身、「自分で書いた曲は実は不得意」らしく、「誰かが自分のために書いてくれた曲に心を移入して歌うことが得意だ」と、生前インタビューで語っていた。最後のアルバム Innuendo でブライアンがメインで書いたとされる The show must go on や、ロジャーが書いた These are the days of our lives などからは、余命幾ばくもないフレディの気持ちを代弁するような歌詞から、それぞれのフレディに対する思いを存分に感じる。そしてそれにに応えようと命を削り取って歌うフレディの声は魂からの叫びのようでもあり、すべてを達観しているかのような穏やかな表情をも魅せたり、まさに圧巻である。
他のメンバーが作る中でも、最もフレディが感情移入して歌っているのはジョンの作品だと思う。彼はメンバーの中でも一番年下で、一番年上のフレディのことを、慕い、尊敬し、大好きだった。「フレディに歌ってもらえる」という喜びに溢れ毎回曲を作ったと本人も語っていたし、フレディもそれに応えるように歌っている。
My life has been saved 今朝、改めてとても心に染みた。「自分の命はこれまで何度も救われてきた。」と歌うこの曲。病魔と闘っていたあの頃のフレディがこの歌詞をこんなにはつらつと歌っていることがとにかく凄いし、その歌声から溢れるエネルギーに、自然と元気が漲ってくる。
最後のつぶやき
I’m in the dark, I’m blind,
I don’t know what’s coming to me.
ぼくは今暗闇の中にいて、何も見えないし、これから何が起こるかわからない
この台詞はきっと、フレディが即興でつぶやいたと思われる台詞だが、
驚くほどそこに悲壮感は漂っていない。
むしろ、「挑戦なら受けて立つよ」というニュアンスのように聞こえる。
運命に身を委ね、最後まで自分のやりたいことに向かって突き進んだフレディの強さ。音楽から生まれる奇跡を信じ、最後まで諦めなかったフレディの人間性に深く触れることのできるナンバーである。
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