弱ったときの勘三郎さん。

以前NY在住の姉から、平成中村座NY公演の話を聞いて、逆輸入な形で勘三郎さんに興味を持つようになった。台詞ひとこと、一瞬で観客を魔法にかけたように魅了し、そこから最後の最後まで引き込み続ける芝居力。初めて勘三郎さんの舞台をTVで観たときの感動は今でも忘れられない。昨日はやりたいことだらけで気力はあれど、体力はついてこずという1日。こんな日は勘三郎さんだ!とNYでの公演、法界坊を鑑賞。茶目っ気たっぷりの法界坊がどんどん狂気をはらんでいき、やがて怨霊となるまで芝居でとことん魅せきった後、大喜利での双面、ふたりの女性の心の内面を表現していく舞踊は圧巻としか言いようがなく、見得を切る勘三郎さんに涙、涙、涙となりました。やっぱり弱ったときには勘三郎さんの舞台かフレディのライヴ(笑)命をかけ、魂を込めた仕事ぶりには、生きる力を必ずもらえます。

法界坊にも、ドリフのコントの原点のようなシーンがあり(これは串田和美さんの演出によるところも大きいと思うのですが。)学校から帰ってきたムスメが興味を持ちそうなシーンをダイジェストで見せたら夢中になり、今度全部観たい!と。笑いと涙、人情たっぷりなところは、幼い頃から父の影響で観て育った藤山寛美さんの舞台にもつながっていくし、歌舞伎は日本の舞台の原点なのだと確認させられる。ところで、法界坊を観ていたらビックリするようなことが!2歳か3歳くらいの頃父が入院していたことがあったのだが、確か退院の日、名古屋の御園座で歌舞伎を何故かふたりで観た記憶が急に引っぱり出されてハッとなったのだ。幼い頃のこういう経験って、きっと、細胞に刷り込まれたような感覚で、普段使っていない部分で覚えていることなのだろう。ムスメにも今度じっくり観せてあげよう。

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